2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧
「われわれは常づね声を大にして、戦争は追剥だ、蛮行だ、戦慄だ、兄妹殺しだと叫ぶ。われわれは失神せずして血を見ることは出来ない。しかしだ、フランスやドイツが一度でもわれわれを凌辱したら最後、われわれの士気は忽ちにして揚がり、じつに心底からの…
「よしてくださいよ、いまのロシアに自分をナポレオンと思わないようなやつがいますかね?*1」 近代化を拒否し、ウクライナ平原を中心とした大農業帝国の建国を目指したロシア皇帝ニコライ1世は、その晩年に差し掛かるにつれてその専制の度合いをより強めて…
「ロシアだけがヨーロッパの救世主にならなければなりません。わが陛下はご自分の崇高な使命をご存じであられます、そしてその使命に服されることでしょう。このひとつだけ、これだけですわ、わたしが信じておりますのは。聖徳並びなく、ご英明にわたらせら…
「思い出したまえ、貴公、英国の貴族を。彼らは自分の権利から一歩もしりぞきません。だから他人の権利も尊重するのです。彼らは彼らに対する義務の履行を要求します。だから彼ら自身も自分の義務を履行するのです。貴族階級が英国に自由をあたえました。そ…
19世紀末。 「教会国家」ローマ教皇領は、史実におけるその消滅の年をゆうに超え、自由主義とナショナリズムによる世界の混乱の中でも果敢に生き残り、その権勢は史上最大のものとなっていた。 世界各地に張り巡らされたローマ教皇庁自由貿易圏は、今や世界…
第256代教皇アレクサンデル9世ことガエターノ・インブリアーニは、1851年に若くして教皇の座に就いてからはや25年以上の歳月を重ね、いよいよ晩年に差し掛かりつつあった。 開明的な前教皇クレメンス15世(ルイージ・ランブルスキーニ)の後を継ぎ、自らの支…
近代化を頑強に否定していた第254代ローマ教皇グレゴリウス16世亡き後、その後を継いだクレメンス15世(ルイージ・ランブルスキーニ)は勃興する資本家たちを支持基盤とするギターノ・インブリアーニ枢機卿とタッグを組み、国内を改革。 その性急な改革に教…
ローマ教皇領。 8世紀にフランク王ピピンの寄進によって成立し、以後1000年以上に渡りイタリア半島の中心部を支配する史上唯一の「教会国家」であり続けた。 しかし、時は19世紀。先のナポレオン戦争時代に一度消滅しながらもウィーン会議によって復活するが…
1916年9月。 大アフリカ戦争を終えたばかりのコンゴ王ローンベ・キンラザは、ベルリンの地で行われた世界会議にて列強国の1つとして招待された。 列強1位フランス共和国のヴィンセント・クノン主席(40歳)。 列強2位ドイツ帝国のヨアヒム・フォン・ホーエン…
1896年。 60歳を迎えていたマニコンゴ(コンゴ王)ガルシア・キンラザ(ガルシア6世)は、国家の命運を左右する選択を迫られていた。 父である前王アンドレ2世時代から続く列強のイギリス、フランスへの経済的従属を続けるか、そこからの真の意味での独立を…