前回に続き、10月25日に発売された「Victoria3」のプレイレポートを行っていく。
今回は前回の続きで1856年から。
まず最初に、前回プレイの最後に用意された大きな「課題」の解決から図っていこう。
Ver.1.0.3(Vanilla)⇒途中で1.0.4にアップデート
使用MOD
- English replace Japanese
- Universal Names+Historical Figures
- Complete Pop List
- Japanese Language Advanced Mod
- Japanese Namelist Improvement
目次
前回の記事はこちらから
財政再建と政治の改革
1856年。
ゲーム開始から20年。順調に国力を伸ばしていたスウェーデンだが、ある構造的な危機に瀕してもいた。
すなわちそれは、財政問題。
1856年現在の収支状況は下記の通りである。
一時的な出費である建設コストが投資プールによって相殺されているにも関わらず、収入より支出が多い状態。
現状はまだ金保有高が残ってはいるが、構造的な赤字状態であるため、この改革を行わなければ近い将来に(多くの初見プレイヤーが陥っている)破産へと直面してしまう。
まずはこの解決から考えていこう。
給与カット
支出の内訳を確認すると、支出全体の3分の2を占めているのが「国家公務員の給金」(マイナス6万ポンド/週)。
この中身をさらに見てみると、港労働者への給金が2万5,700ポンドと、大半を占めていることが分かった。
これはこの20年間で、拡大する貿易に合わせるようにして求められるがままに港を建造し、輸送船団(Convoys。公式日本語訳では護衛と訳されているが、単数形のConvoyは輸送船団と訳されているのでこれは単純な誤訳と思われる)を供給していった結果だろう。
貿易の整理も解決策の1つだと思うが、大きな利益を上げているのも確かなので、これにメスを入れるのはやや勇気がいる。
プロイセンへの鉄の輸出で1,417隻もの輸送船団を使用している。一方、この交易だけで従業員一人あたり年間で117.4ポンドも稼ぎ出しているのである。スヴェアランドのこの交易センターで働く4万7,200名の事務員は年間平均69.9ポンドの給与を受け取り、好調(28)の生活水準を持ち、政権与党を構成する知識人層(人民党)の支持者となっている。
そのため、別の方法を採る必要がある。
まず大きな効果をもたらすのが「公務員給与の削減」。
予算タブから国家公務員と、ついでに戦争をあまりする気がないので軍隊の給与を一段階減らす。それぞれ知識人層と軍隊階級の支持度を2ポイント減らしてしまうが、大きな影響はない。
かなり直接的な方法ではあるものの、これで公務員給与の削減だけで「9,010ポンド/週」、軍隊の方は「2,140ポンド/週」で合計「11,150ポンド/週」の支出削減につながり、一気に財政は黒字に。
公務員の仕事への魅力が減り、労働者が減る恐れはあるが、現在化学プラントや発電なんちゃらの労働者が給与が低いという理由で集まらなくなっているので、むしろちょうどいいのかもしれない。
ただ、これはかなりの対処療法に過ぎない。これで時間を稼ぎつつ、構造的な改革を進めないといけない。
所得倍増計画
構造的な解決で最も基本となるのは、収入の中心(4万9,000ポンド/週。収入全体の半分以上)となっている所得税の増加を図ること。
これは単純に生活水準の向上を図ることが基本になるのだが、そのための1つの策が、彼らの支出を抑制することである。
国家の構成員の最も平均的なモデルとなっているであろう、人口の最大のボリュームゾーン、すなわち首都ストックホルムのあるスヴェアランドで最も多い人口を占める21万3千人(国家全体人口の5%)の「スヴェアランドの伐採所で働くプロテスタントのスウェーデン人労働者」の需要を見てみる。
ここで高い需要を誇りつつ相対価格が高くなっている(=インフレしている)商品の供給を増やし、価格を下げることが、彼らの生活水準の向上につながる。
早速、食料品(相対価格+35.8%)や酒類(相対価格+18.9%)を増産する「食料品工場」を増築する。
このとき、原料の砂糖も相対価格+36%とかなり値上がりしてしまっているので、こちらもアフリカの植民地でプランテーションを増設して供給を増やしていく。
原料の高騰はこの工場の利益率を縮小させ、結果としてこの工場で働く市民の給与を減らしてしまうことに繋がるのだ。
時間を進めると衣類や家具などの高需要商品の価格も高くなっていき、さらに中流階級でもコーヒー(相対価格+75%)の需要が増してくるなど悪い変化が起こってきたので、これに合わせて家具工場や織物工場、植民地でのコーヒー農場などを増設していき、それぞれの供給を増やしていく。
所得税増大のもう1つの策は、単純に人口を増やすことである。とくに首都スヴェアランドではすでに多くの労働者の生活水準が上がっていった結果、並以下の給与では働きたがる人がいなくなり、人手不足が発生しつつある。
そのために、「多文化主義」の法律を制定する。(現在の権力+200効果をもつ「国家至上」の法律から変更することで)権力が大きく減るというデメリットはあるが、あらゆる文化を差別しないことで、一気に移民を促進することのできる法律だ。
これで人口を増大させ、スウェーデンの成長を底上げしてくれることになるだろう。
さらに、所得税増大のためには社会全体の給与を上げることはもちろん重要になる。
しかしそれは産業革命によって果たしていくものでもあり、これは財政再建されたあとの次節での目標となるため、ここでは一旦割愛する。
財政改革
財政再建策の最後の一手として、税制改革を行う。
現在、税制は人頭税を採用しているが、これを「比例課税」へと切り替えていく。
国民の生活水準に関わらず1人いくらの税金を定める人頭税と比べ、比例課税は所得税率への補正が強い(人頭税は普通レベルの税率の場合、所得税率補正は15%に過ぎない)。よって、国民全体が貧しい時期は人頭税の方が収入が多くなり、国民全体が豊かになり給与水準が高くなってきた場合には比例課税の方が有用になっていく。
ただし、これは現在の政権与党である古ラントマンナ党(実業家集団が支持基盤)が反対しており、現政権では可決させるのが不可能。
一方で、労働者階級を支持基盤とする社会民主党がこれを支持しており、この社会民主党が1859年に行われる予定の次回選挙に向けてかなりの支持を集め始めている。
先ほども見た通り、現在の人口の大半は労働者階級が占めており、その政治力も資本家を抜いて1位となっている。
現在の選挙制度も生活水準15以上のPOPが皆投票権を持つ「制限選挙」を採用していることもあり、この豊かになった労働者階級の政治力が一気に1859年の選挙に流れ込んでいく。
逆に、ゲーム開始当初と比べて国内での相対的な生活水準の優位性が失われつつあり、元々人口も少なかった資本家階級は(そして彼らが支持する古ラントマンナ党は)、往年の勢いを完全に失ってしまっている。
いよいよ、ゲーム開始当初からお世話になり続けていた資本家たち実業家集団たちから、新しい時代の主役たる労働組合へと鞍替えをするときが来たのかもしれない。
かくして、1859年10月11日。
スウェーデンでの第2回選挙の結果が出揃う。
結果は社会民主党が圧勝。次いで地主と軍隊階級を支持基盤とするラントマンナ党が2番手につけ、現在の与党の一部を形成する知識人層中心の人民党が3位。
旧ラントマンナ党は最下位に沈むこととなった。
これを受けて政治改革を行う。選挙直後は大義名分を得ている状況なので、選挙で勝った政党を政権に据え、敗北した政党を政権から放逐してもそれによる急進派を増やさずに済む状況となっている。
これを機に古ラントマンナ党を政権から追放。代わりに、選挙に勝利した社会民主党を政権与党に据え、人民党との連立政権を構築する。
これにより、ついに比例課税の制定が可能になる。
なお、労働組合が支持する法律の制定を進めたことでその承認度も「忠誠(+10)」にまで成長。
こちらも実業家集団に負けず劣らず魅力的な効果であり、とくに製造業の生産量増加は産業革命を控えた現在、有用性が非常に高い。
また、知識人層も引き続き高い支持を得ており、彼らの「社会技術コスト-20%」および「移住求心力+100%」も滅茶苦茶価値の高い効果。
政治の新体制も十分に国力増強に繋がる体制となっている。
そしていよいよ1862年6月10日。
3年間にわたる議論の末、ついに「比例課税」の法律が制定された!
これにより、収支は一気に2万2,200ポンド/週の黒字へ。
比例課税制定直前が-9,120ポンド/週の赤字だったため、一気に3万ポンド以上のプラス税収をこの比例課税は実現したこととなる。積極財政の結果もありすでに借金状態に入り込みつつあったので、これで一気に財政が楽になった。
所得税収入は11万プラスという大台に。
さらに実業家集団を放逐したことから、続けて「自由貿易」から「保護主義」へと貿易法を改正することで、関税による収入を得られる方向へと切り替えていくことにしよう。これでまた1万ポンド/週の税収増に繋がるはずだ。
さらに多文化主義の法律の効果も発揮されてきて、この1862年時点で首都のあるスヴェアランドの人口は6年前の177万人から243万人へと急増。
人口増加率も3万1,960名/年、移住による人口増加も10万2,330名/年とかなりの急成長を遂げている(6年前の移住は2万1,600名/年に過ぎなかった)。
小作農の数もつい数年前まではスヴェアランドでは0名だったが、5万弱にまでまた増えてきている。これはすなわち、これから成長する余地を残している労働者の数が一気に増えたことを意味している。
財政の再建、そして人口の増大。
いよいよ、産業革命の基盤は整った。
本当の意味での経済の根本的構造改革、産業革命へと本格的に手をつける時期が来たのである。
産業革命に向けて
技術革新
まずは、産業革命を進めるにあたり、基本となる技術の獲得を進めなくてはいけない。
そのための重要パラメータである「革新値」。現在スウェーデンの識字率は62.47%で革新値の上限は143.7になっているのだが、現在の革新値が83.1で全くその上限に達していないという現状がある。
これはあまりに勿体無いので、せっかく改善された財政を生かして大学をさらに増やしていく。
そして次々と重要技術を獲得していって産業革命を進めていく。
まずは重要技術「電気」を獲得し、各種生産施設の電動化を進める。
この電動化には商品としての電気も必要なため、電力プラントを建設。
その電力プラントに必要な「発電機」は、さらにその生産のために石炭や鉄鋼を必要とする。
この鋼鉄や石炭を生産量をさらに増やすための技術「平炉法」や「ダイナマイト」を獲得していくことがこの時代の目標である。
建設セクターの性能を向上させる鉄筋コンクリート含め、この10,000コストを誇る「時代Ⅲ」の技術たちはいずれも超重要(電気もここに含まれる)。10,000コストは、革新値100でようやく100週間=25か月かかるという重さであり、そのことを念頭に置いた大学の建設が必要となる。
政治の変化
そうこうしているうちに1864年2月15日。
ついにカール14世が亡くなり、史実より遅れること20年。ベルナドッテ朝第2代君主であるオスカル1世が即位する。
知識人層が率いていた人民党も社会民主党に吸収される形で両党が合同。
彼らと交流の深いオスカル1世が率いるこの政権は正当性100%の盤石な体制を築き上げることに成功した。
こうなれば、いよいよ実業家集団が嫌う各種法律も積極的に制定可能になっていく。
まずは彼ら富裕層の政治力をさらに減衰させる「普通選挙」。
そして関税を復活させ財政改善へと寄与させるための「保護主義」も、労働組合が支持し実業家集団が反対する法律だったため通していく。
なお、普通選挙の制定によりいよいよ政治力が絶望的になった地主層を中心としたラントマンナ党は解散。
政党は社会民主党と古ラントマンナ党の2大政党制へと移り変わっていく。
もちろん、選挙では全体の3分の2の影響力を独占する社会民主党が圧勝していく。
8割を超える得票率はやばい。
さらなる技術革新と、インフラ問題の発生
1866年8月8日。
重要技術の一つ、「ポンプジャック」が研究完了。
これでアンロックされる「かんがい自動化」製法によって、砂糖・染料・コーヒーといった各種重要一次資源の産出量を大幅に増加させることができる。
一方、これで発動機の需要がさらに増大したため、その原料となる鉛や鉄の需要もさらに高くなり、それらの鉱山の増設も進めていく。
ここでトラブルが発生。
11月2日にリリースされた1.0.4パッチによる変更点なのか、交易センターがインフラを大量に使用するようになり、首都スヴェアランドのインフラ使用率が急増。
どうやらバグだったようで、1.0.5パッチが適用されて修正されました。
結果、スヴェアランドの市場アクセスが一気に76%に低下する事態となってしまった。
ここまではインフラにかなり余裕があったため生産効率を重視して各種工場をスヴェアランドに集中させており、ここと原料供給元であるアフリカ植民地とのアクセスが悪化。
原料不足で各種工場の操業が止まり、かつ市場に流れづらくなった重要な商品の価格が軒並み上がったことにより国民の生活水準が一気に低下。
GDPもがくっと下がる、最悪な事態となってしまった。
これを何とかするため、スヴェアランドでは急ピッチで鉄道を大量増産。
さらにこれ以上スヴェアランドのインフラを逼迫させないように、新たな施設の増産は労働力にも余剰がありかつインフラの余裕も残っているスカニアやノールランドといった周辺ステートに振り分けることにした。
また、鉄道の製法も、商品「輸送」の生産量を犠牲にしてインフラをより多く産出する「貨物優先」に切り替えていく。
さらに、インフラ不足を技術面でサポートすべく、まずは時代Ⅳの社会系技術「エレベーター」を獲得。
さらに鉄道の製法を「電車」に切り替えることが可能になる時代Ⅳの生産系技術「電軌鉄道」を1873年にアンロックした。
それまでのインフラ産出量をさらに1.5倍させる強力な製法「電車」。
その分、発動機と電力がさらに必要になるが、発動機を生産する自動車産業は同じく電軌鉄道の技術で解禁される「電軌推進機関」で生産量をアップさせ、さらに電力を生産する電軌プラントは、時代Ⅳの生産系技術「蒸気タービン」によって、その生産量を飛躍的にアップさせることができる。
これらの技術革新の助けを借りて、スヴェアランドのインフラもようやく充実したものとなったのである。
列強入りを果たした1876年の状況
かくして1876年1月1日。
ゲーム開始から40年が経過し、インフラ問題で一時期停滞したGDPも再び右肩成長。
GDPは6,730万ポンド(世界8位)に達し、威信ランクでも7位。見事、「列強」入りを果たした。
識字率は67.98%(世界14位)、平均生活水準は堅実(22)で世界1位。
人口は745万人で世界18位となっている。
首都スヴェアランドの人口は338万人にまで成長している。
さて、列強入りも果たしたことだし、内政についてはある程度やり尽くした感を感じている。
この辺りで、そろそろ初の本格的な「戦争」を、経験してみてもいいかもしれない。
せっかくのスウェーデンプレイなので、実績のスカンディナヴィア形成を試してもみたい。
オスカル1世の夢である汎スカンディナヴィアの実現を目指してみよう。
第3回へ続く。