10月25日に発売された、19世紀から20世紀初頭を舞台とした歴史シミュレーションゲーム、「Victoria3」。
前作から12年の時を経て発売された「パラドックス史上、最も待ち望まれたゲーム」を、パラド歴5年程度、前作未プレイの筆者が早速プレイし、レポートしていく。
初回はチュートリアルおすすめ国家でもある制作会社の地元スウェーデン。
ただし、こまめなセーブはせずひたすら20年やっただけなので、画像はスタート時のものと1856年のもののみ。
途中経過も交えながら、雑感を書いていこう。
目次
第2回はこちらから
スタート時の状況① 政治
1836年当時の君主はカール14世ヨハン。
元はフランスの平民階級出身の軍人・政治家のジャン=バティスト・ジュール・ベルナドッテで、のちにスウェーデン議会に招かれて王位継承者に。現代にまで連なるベルナドッテ朝の始祖となった。
第6次対仏大同盟を主導しナポレオンに対抗し、ナポレオンをして「我らが失墜の主たる原因のひとつ」と言わしめた、ナポレオンのライバル的存在である。
性格は野心的で特性は「経験豊富な辣腕政治家」。
イデオロギーは穏健派だが利益団体の地主集団を支持基盤としており、史実通りの保守的な政治姿勢である。
しかし貴族や聖職者中心の6.700名(全人口の0.8%)で構成された地主集団は政府に対する影響力を8.2%しか持たない弱小勢力。
それよりは野党側に陣取る実業家集団(1万7,900人)や軍人階級(6万4,800人)などの方がより高い政治的影響力を持ち合わせている状態である。
よって、その中でも特に、資本家や商店主など、生活水準の高い職業で構成されておりより高い政治的影響力を持つことができている実業家集団を、政権内に加えることとする。
政治力は人口と構成するPOP(市民)の平均財力に比例する。
また、すでにカール14世は72歳の高齢であり、史実では1844年に崩御し、嫡子のオスカル1世が即位するのだが、このオスカル1世がゲーム上では知識人層を支持基盤としており、非常に進歩的な人物。
カール14世が崩御した際には地主集団を政権から追放し、逆に知識人層を政権に入れることで、より強力な政権を形成することを目指していこう。
そして法律は、実業家集団を政権に入れたことで制定可能になる「レッセフェール(自由放任主義)」を制定することとする。
資本家の「投資プール」を大きく拡大することのできるこの法律。投資プールはたとえば建設セクターや鉄鉱山など特定の建築物を建設中に、その建設資金の一部を肩代わりしてくれる非常に有用な仕組みであり、序盤の金欠をかなり緩和させてくれる。
さらにこのレッセフェールの法律は、実業家集団が元々イデオロギー的に強く支持する法律であるうえに、現在の実業家集団のリーダーであるラース・ヨハン・ヒエルタが個人的に持つイデオロギー「市場リベラル」でも強く支持する法律であるため、実業家集団の承認度がいきなり「忠実(+12)」に上昇。
これで実業家集団の高支持率ボーナスである「進歩の原動力」と「雇用創出者」が有効化。それぞれ生産技術コスト-20%と資本家投資プール出資度+20%という非常に強力な効果である。
このあとも「自由貿易」「植民地搾取」「民間学校」など、実業家集団が支持する法律をどんどん通していくこととする。
スタート時の状況② 経済・技術
さて、Victoria3の目玉は政治もあるが、それ以上にやはり経済である。
ゲーム開始時点(1836年)のスウェーデン国内市場を見ていこう。同君連合下のノルウェーもこの市場に組み込まれており、彼らの生産物消費物も反映されている。
まず目立つのは木材の圧倒的不足(1,100単位の供給に対し1,620単位の需要)。
序盤では大量に必要なため、まずはスヴェアランドに建設セクター⇒伐採所⇒伐採所の順で建築予約を行う。
また、(すべてではなく)一部の伐採所の製法を「硬材生産」から「軟材生産を優先」に変え、硬材よりも木材を優先して生産するようにする。
これはいわゆる「ダウングレード」にあたるが、状況により常に高いカテゴリが有利ではないことを示す一例である。
建設セクターは毎週4,250ポンドもの支出を発生させるが、先ほど整備した投資プールのおかげでその建設費すべてがそっくりそのまま賄われている。これは本当に強い。
なお、木材の不足の原因は、元々これだけ不足しているにも関わらずそのうえで大量に海外へ輸出しているからでもある。
輸出による利益も大きいため輸出自体は止めないが、貿易政策から保護政策を取り、その分大量に関税を取るように変更する。鉄も同様に、不足しているが輸出されているので保護政策を取っていこう。
この木材や鉄は序盤の建築において非常に需要が高く、これらが不足することで値段が高くなることで、建築の際にかかるコストも非常に大きくなる。
特に鉄は結構簡単に値段が高くなってしまい、建築時コストの大半を占めてしまうため、鉄産出ボーナスのあるノールランドに鉄鉱山を建て供給を増やすようにする。
マルムベリエトは有名な鉄鉱山都市である。
鉄は常に建築時コストの大半を占める。
そして鉄の産出量を増やすべくテクノロジーは大気圧機関やベッセマー法、その先にあるニトログリセリンなどを優先的に進める。このとき、実業家集団を満足させていることによる生産技術獲得コスト-20%ボーナスが効いてくる。
なお、テクノロジーはその後メカニカルツール、缶詰工場、機械化工房、クリスタルガラス、科学的漂白など各種重要商品やその素材をアンロック・生産性向上させる生産系技術を中心に進め、知識人集団を政府内に入れて社会技術ボーナスを得たあとは製薬や平等主義など、有用な法律をアンロックする前提となる社会系技術も獲得していった。
しばらく戦争する気はないため、軍事系技術は自然伝播任せである。
スタート時の状況③ 外交・キャパシティ
最後に外交だが、まず近隣の代表的国家との関係は以下の通り。
デンマーク・・冷淡(-50)
ロシア・・不信(-22)
プロイセン・・親愛(+32)※貿易協定を結んでいるため
イギリス、フランス・・中立(0)
デンマークは直前(1814年)に征服してノルウェーを奪っているので当然とはいえ当然。さっさと戦争を仕掛けて従属下に置き、スカンディナヴィアを建国するのがセオリーなのかもしれない。
だが、せっかくなので次代オスカル1世が史実で目指したように、汎スカンディナヴィア主義を突き進めてデンマークとは融和的でありたい。
そう思い、影響力を消費してデンマークとの関係改善を進めることとする。
なお、3種類のキャパシティについてだが、それぞれスタート時点での状況は以下の通りである。
官僚制の建築ボーナスと権力の法案締結速度ボーナスはかなり有用なのでできればフル(25%=産出量が消費量の2倍)で享受したい。
よって官僚制は大事に使いたいが権力は余りすぎているので、ワインや高級家具などに消費税をかけて収益をあげよう。
以下のリンクにある公式の攻略情報では必需品への消費税は避けた方がいいとあるが、将来的に権力が不足してきて効率よく消費税を取りたくなったら、木材や魚、あるいは奉仕(サービス)などに消費税をかけるのも手だろう。
最後に影響力は悪名(EU4で言うところAgressive Expansion)の減衰ボーナスということだが、戦争をあまりするつもりのない今回はほぼ無意味なので気にしない。
とはいえ影響力の使い道はあまりないのが残念。
とりあえずイギリスやフランスへの関係改善(国力差があるため影響300を消費)していくか。
ポーズ解除前に忘れずに「関心」も表明しておこう。
自国領土が存在する戦略エリア以外は関心を表明しないと外交プレイができないらしいが、とりあえず戦争するつもりはないため、基本的には植民地を置きたい場所に表明しておくことにする。
と、いうことでとりあえず西アフリカのセネガルへ関心を表明。
のちのち「植民地からの搾取」の法案を通したら入植しよう。
(ところで入植の際のペナルティなどはあるのだろうか? EU4ではかなり財政的な負担が大きかったが、Victoria3ではそういった様子はなさそう)
以上、ゲーム開始時点の状況を確認しながら今後の方針を考えていたが、そのうえでゲーム開始してだらだらと20年ほどを過ごしたのちの状況を、次に見ていこう。
1856年の状況① 政治
ゲーム開始から20年後。1856年になっても、カール14世はまだまだ生きていた。もう93歳ですよ。
Twitterを見ていると100歳まで生きてるヴィクトリア女王とかざらにいるみたいなので、この辺りはそのうち修正入るとは思う。
知識人層が支持し実業家集団も好む制限選挙を実施したことで政党が有効化。
与党は実業家集団を支持基盤とする古ラントマンナ党と知識人層を支持基盤とする人民党との連立政権。正当性は62%。早く知識人層と親交深いオスカル1世が即位すれば一気に正当性も跳ね上がるのだが・・・。
野党側には地主層と軍人階級を支持基盤とするラントマンナ党や労働組合を支持基盤とする社会民主党が存在。
ちなみにラントマンナ党ってなんだろうと思って調べてみると、なんでも1867年に設立されたスウェーデンの農民政党らしい。
これは1888年に自由貿易を求める古ラントマンナ党と保護主義の新ラントマンナ党に分裂。
ゲーム上ではこの部分を反映した命名法になっている模様だ。
1856年の状況② 経済
ゲーム開始時点では500万ポンド(世界19位)だったGDPも1856年時点では1,840万ポンド(世界12位)に。人口も279万人(世界38位)から421万人(世界30位)にまで成長している。
首都ストックホルムが位置するスヴェアランドは積極的な移住が行われ人口は177万人に。全人口の3分の2がここに集中している。
最も下層の人びとの生活水準も中流(19.1)ということでかなり豊かな状態と言えるのではないだろうか。
このゲームの収入の大部分は、各市民(POP)が得た賃金をもとにして算出される所得税が占めている。
この20年で所得税収額も1万2千ポンドから4万9,700ポンドへ。
自由貿易体制のため関税はないが、問題ないくらいに稼いでいる。
つまりこのゲームは「国が儲ける」ゲームではなく、「国民を儲けさせる」ゲームなのである。だからこそめちゃくちゃ楽しい。
国を大きくさせて満足感を覚える歴史ゲームではなく、国民を幸せにして満足感を覚える歴史ゲームをずっと求めていたのだ!
生活水準が上がればもちろん需要も上がる。たとえばおそらく国内で最も裕福なスヴェアランドの資本家の需要はこんな感じ。
一方、スウェーデン南端の港町スカニアの労働者の需要はこんな感じ。
対してアフリカの植民地に住む農民の需要はこんな感じだ。
ちょっと全体的にインフレ気味なので改善しないといけないのだが、とにかくこの需要の変化に応じて対応する商品を生産していく必要がある。
たとえば高所得者の求める高級衣類や高級家具を製造するために必要な「染料」や多くの階級に求められ消費税収入の鍵となっている「酒類」生産に必要な「砂糖」は、スウェーデン本土では直接手に入れることができないので、アフリカに創設した植民地のプランテーションで生産して賄っている。
この結果、スウェーデン・ギニアの人びとも結構裕福であり、人口も増大している。
将来的にはこのスウェーデン・ギニアを本国と同じ地位に編入し、本国と同じ教育を施して識字率の向上・有資格者の増大を図るべきなのだろうが、それは同時に地主や農民の多いこの地域の人びとに選挙権を与えることにもつながり、実業家・知識人中心の現在の政権を揺るがすことになりかねないので難しいところである。
スウェーデン・ギニアの人口の大多数を占める労働者や聖職者たちは農民集団や地主集団の利益団体に属しているため、彼らが政治力を持ち始めると政権への影響は大きそうだ。
植民地にも拡大したスウェーデン市場の需給はこんな感じ。商品もかなり多様になってきた。
全体的に酒類や食料品が不足して高価になりつつあり、先ほど見たようなインフレもあるので、供給をしっかり強化する必要はありそうだ。
今後の方針としてはたとえば思い切って大統領共和制を制定してみるのも面白そう。
段々と産業化してきて都市の賃金も上がってきたことから低賃金の労働者が不足しつつあるようなので、その対策も考えていかないといけない。
生産の自動化を進めて労働者需要を減らすのが近道か?
戦争は途中一回、フランスが始めた対アメリカ戦争に誘われて参加したものの普通に負けてトラウマになっているのでかなり消極的だが、できれば最終的にはロシアからフィンランドを取り戻したい(元々カール14世は、このフィンランド奪還のためにフランスとの関係を深めようとしたスウェーデン議会によって擁立された。結果としてはそのフランスと対立し、フィンランドの代わりにノルウェーを手に入れたわけだけど)。
次回もまたある程度進め、この1856年の状況との比較をしていこうと思う。
カール14世は果たして何歳まで生きるつもりなのだろうか・・・。
なお、今回はチュートリアルでプレイしているわけだが、正直チュートリアルジャーナルはほとんど無視している。さすがにこの1年半、各種開発日記や解説動画を穴が開くほど見てきたため、基本的なこいとは頭に入っている。
とはいえ、無視しても支障がなく好きなチュートリアルジャーナルをつまみ喰いできること、また「どうやるのか」と「なぜやるのか」に分かれた説明というのは非常に有用で、新しくて成功した試みだという印象である。
第2回へと続く。